ラマになった王様(原題:THE EMPEROR‘S NEW GROOVE)
先日『トレジャー・プラネット』の感想文で「ディズニーらしさがもっと欲しい」と文句を書いたばかりですが、こちらの映画もディズニー映画らしからぬ、ギャグオンパレードの映画です。もともと子供の集中力に配慮して90分程度の作品が多いディズニーなのですが、この作品は極めて短い、本編なんと78分。同じ入場料を払って映画を観ているのに、本編が短いと不満に感じたりするかもしれませんが、この映画はテンポ良く物語を進め、沢山笑わされ、2時間ぐらいの映画を見た充実感を得られると思います。
この映画、一体何が良いんでしょうね。ギャグの質はどれも高いです。暴君と言える王様が魔女にラマへと姿を変えられて、城から捨てられてしまい、そこで貧しい農夫に助けられて・・・と言うお話し。このテーマでどうやってギャグのオンパレードの作品に出来ようものか。制作者のセンスはかなりのものでしょう。そして、王様をラマへと変えてしまう魔女のイズマが良い。最近のディズニー映画にはいない、憎めないタイプのヴィランズです。こう言う悪役がいるからこそ作品が引き立つのだと僕は思うのですよね。しかもイズマには馬鹿な部下までいる。これ、魅力的な悪役の典型ではないですか。
だけど、ディズニーの王道を歩める資質を秘めている映画なのに、ちっとも話題になりませんでしたね。本国では評判良かったらしいのですが。この映画にはミュージカルシーンはありませんでしたが、この映画のスタッフが真剣にミュージカル有りプリンセス有りヴィランズ有りの映画を作ったら、物凄く良い物が出来ると思います。きっとそんな希望は夢のまた夢なのですけどね。
しかしこの映画、キャラクターグッズを見た事が無いぞ。ディズニー的には闇に葬る方向なのだろうか。
2001年7月15日鑑賞